2012年6月3日日曜日

アデル/ファラオと復活の秘薬

アデル/ファラオと復活の秘薬
Les aventures extraordinaires d'Adele Blanc-Sec
2010年 フランス 107分
監督:リュック・ベッソン

仲良し姉妹で楽しくテニスをしているうちに、つい気合いをいれてアデルが放ったボールが妹の額を直撃し、倒れる妹の頭から帽子の止めピンが抜け落ちて、妹の後頭部に刺さって額に抜けるという世にも恐ろしい事故が起こり、以来、妹は植物人間と化したため、アデルは妹を救うために進んだ医学を持っていたという古代エジプトの力を借りようと王家の谷を訪れて遠慮も会釈もなしに墓を暴き、パトモシスのミイラを発見すると蘇生の技術に長じたエスペランデュー教授の助けを求めるためにミイラを持ってパリへ戻るが、そのエスペランデュー教授は蘇生術の実験で博物館にあるプテロダクティルスの卵を孵化させたため、パリの空に放たれたプテロダクティルスは女優と密会中の元知事を襲い、エスペランデュー教授は逮捕されて死刑を待つ身となっていて、アデルはエスペランデュー教授を救うために再三にわたって刑務所を襲い、策が尽きると根性でプテロダクティルスを手なずけて空を飛んでエスペランデュー教授を処刑台の前から救い出し、ついにエスペランデュー教授の力によってパトモシスのミイラがよみがえるが、パトモシスは医師ではなくて原子物理学者であることがわかり、とはいえエスペランデュー教授の蘇生の術は半径二キロにわたって影響を及ぼしていて、ルーブルに展示中のラムセス二世ほか臣下のミイラも同時によみがえることになったので、アデルはルーブルを訪れてラムセス二世に助けを求め、ラムセス二世の侍医の力によって妹もまたよみがえる。
予告編はまるで女性版『インディ・ジョーンズ』のように見えるけれど、実は確信犯のおばか映画なのである。二十世紀初頭の時代色がよく出ていて、豊富に配置されたキャラクターもいかにもな時代色を帯びているが、挙動は適度に現代に接続されている。背景への愛着もふくめ、きわめて洗練されたオルドリッチ・リプスキーの映画みたい、というのが感想で、これは傑作である。主演のルイーズ・ブルゴワンが魅力的。 




Tetsuya Sato