2012年5月22日火曜日

巨匠とマルガリータ

巨匠とマルガリータ
Master i Margarita
2005年 ロシア 499分 TV
監督:ウラジーミル・ボルトコ


1930年代のモスクワ。作家連盟の議長ベルリオーズと詩人ベスドームヌィが公園で反宗教詩の機能について話していると、そこへ外国人の紳士が現われて話に加わり、神を肯定し、ポンペイウス・ピラトとイエスの関わりを語り、ベルリオーズの死を予言する。そしてベルリオーズが予言どおりの仕方で死ぬとベスドームヌィはこれは敵による攻撃であると確信して紳士を追いかけ、事実をありのままに告白して精神病院にぶち込まれる。ベスドームヌィは病院で巨匠と名乗る男と出会い、巨匠はベスドームヌィに請われるままに自分がそこにいる理由を語り始めるが、つまりポンペイウス・ピラトとイエスの関わりを描いた小説を書き上げたところ、出版をことごとく断られ、愛人マルガリータの勧めにしたがって断片を公表したところ批評家から酷評され、すっかり精神を痛めつけられている。一方、ベスドームヌィが追った男はヴォランドと名乗って劇場に現われ、魔法によってモスクワ市民を幻惑し、作家連盟を破壊し、内務人民委員部を混乱に陥れ、巨匠を失って悲嘆に暮れるマルガリータを舞踏会の女王に招き、事実上の魔女と化したマルガリータは批評家の自宅を襲って部屋を破壊する。さらに女王役を務めた報酬として巨匠を取り戻し、巨匠とマルガリータは世界に対して別れを告げる。
10話構成のTVシリーズ。白状するとブルガーコフの原作は未読である。演出は愚直だが、忍耐強く、映像化の過程で都合のよい省略をおこなっていない。演劇的な空間が明確に構成され、出演者は非常に充実した仕事ぶりを示している。30年代のロシアを再現するために顔、衣装がよく選ばれ、雰囲気に厚みがある。洗練された作品ではないが、ひとを引き寄せる力がある。






Tetsuya Sato