2012年3月26日月曜日

ダゴン

ダゴン(1971)
Dagon
監督:スチュアート・ゴードン


ラブクラフトの『インスマウスの影』の映画化。ブライアン・ユズナのスペインのプロジェクトの製作で、現代のスペインの話に変更されている。舞台となるインボッカというのはインスマウスの直訳であろう。登場人物には若干の追加変更があるものの、おおむねにおいて原作に忠実な内容となっている。話の性格上どうしても必要になる特殊なデザインにはやや不満を感じたものの、冒頭の嵐から町の中の陰鬱な雰囲気、群れをなして追ってくる住人といった場面は満足できる水準に達しているのではないだろうか。ただラブクラフトだったら絶対にやらないような性的要素、サディスティックで容赦のない描写が織り込まれているのは多分に監督の趣味だと思うのである(顔面の皮を剥ぐ場面のご丁寧な描写はちょっと参った)。つまり予想はしていたことだけど品が悪い。好みから言うとちょっと違う、というのが感想だけど、力作なのは間違いない。それにラブクラフトは映画化されることが少ないので、こうして見られるだけでもうれしいという本音があったりもするのである。 



Tetsuya Sato