2012年3月23日金曜日

戦略大作戦

戦略大作戦(1970)
Kelly's Heroes
監督:ブライアン・G・ハットン


1944年のフランス某所。雨の中を移動するドイツ軍の列の中になぜかアメリカ軍のジープが一台停まっている。兵士たちはみな俯いて歩いているので気がつかないが、交通整理の憲兵がふと気がついて、その瞬間にジープは急発進して夜の闇へ走り去る。ジープは砲弾が降り注ぐ中、前線を越えて自軍の陣地に滑り込み、ジープから降り立ったケリー二等兵(クリント・イーストウッド)は部隊の仲間に重大な報せをもたらす。ものすごい量の金塊が銀行に保管されているのである。ただし、その銀行はドイツ軍の占領地域内にあって、ドイツ軍に守られているのである。そしてノルマンディー上陸以来、前線にへばりついて損な目にばかり遭ってきた偵察中隊の面々は、まるで働かない隊長が将軍のお使いでパリへ買い物に出かけたのをいいことに、みんなで相談して決めるのである。お国のためにはもう十分に戦った。だから今度は自分たちのために戦争をしよう。そこでケリー二等兵とテリー・サバラスほかの仲間たちは準備にかかり、まず兵隊仲間に掛け合って航空写真を用意し、支援砲撃も用意し、さらにシャーマン戦車3両を確保すると、夜の闇を突いて前線を突破する。私利私欲のためにドイツ軍に攻撃を加え、地雷原を越え、ドイツ軍の陣地を殲滅し、渡れない川には橋をかけ(ちゃんと架橋部隊を呼ぶ)、金塊を目指して進んでいくのである。だが銀行の前にはタイガー戦車が!
戦争映画の大傑作。ドナルド・サザーランドが演じたオドボールもまたこの映画とともに歴史に残ることになるであろう。機械のことは何もわからない(いや、俺は乗ってるだけ)くせにシャーマン戦車部隊の指揮をおこない、しかもその部隊にはなぜか最初から将校がいない(将校は嫌いだ、ふふふふふ)。楽観的に、楽観的に、と繰り返しながら、たぶんこいつがいちばん悲観的で、ただ、猛烈にいい加減にやっているから誰もそのことに気づかないだけなのである。あとはやはりキャロル・オコナーであろう。頭のおかしい将軍といえば、このひとしかいない。




Tetsuya Sato