2012年2月9日木曜日

惑星大怪獣ネガドン

惑星大怪獣ネガドン(2005、25分)
監督・脚本:粟津順

昭和百年。テラーフォーミング中の火星で発見された物体を積載した宇宙船が爆発、物体は東京西部に墜落し、クレーターから宇宙怪獣ネガドンが出現する。防衛軍が立ち向かうが歯が立たない、というところで失意のロボット工学者が操縦する巨大ロボット「ミロク二号」が登場、ネガドンと戦う。
フルCGの「昭和三十年代特撮映画」である。宇宙船などにはわざわざミニチュアめいた「てかり」や質感が与えられ、どこかからワイヤーで操演されているような気配もあり、クラシックな兵器類は自衛隊賛助といった風情があってこちらはミニチュアにないリアルさを持ち、無敵のドリルを振りかざす巨大ロボットはただもう趣味のかたまりである。和室の空気、人間の顔の質感、昭和を感じさせるフィルターワークなどを含め、事実上たった一人で二年半かけて作ったという映像にはこだわりが見える。いわゆる映画として評価が難しいとしても、映像作品としては賞賛すべきであろう。方法論としては『スカイキャプテン』に通じるところがあるものの、かと言ってアーティフィシャルにするのではなく、敢えてガジェットに徹するという思い切りというのか偏愛というのか、このよくわからない取り組みぶりは結果としてはひねりにも感じられる。




Tetsuya Sato