2012年2月6日月曜日

上海陸戦隊

上海陸戦隊(東宝 1939,89分)
監督:熊谷久虎

1937年7月の盧溝橋事件から一ヶ月後、いわゆる第二次上海事変で中国正規軍が上海を包囲した8月12日あたりから始まり、拠点防御にあたった海軍陸戦隊の一個中隊が圧倒的な中国軍の兵力と数日間にわたって交戦し、全滅するまで。
実際に上海でロケがおこなわれた模様で、海軍が映画の監修にあたり、中隊本部の様子、前線の陣地の様子、交戦の風景などがリアルに描かれていて、強化された機銃陣地の制圧が難しいこと、そもそも兵站線が弱いことがよくわかる。原節子が抗日的な中国人少女の役で登場したりするもののドラマは最小限の扱いで、おおむねドキュメンタリー調に終始するが、各小隊と中隊本部の位置関係、中国軍の脅威方向などについての説明がないのが惜しまれる、というか、状況を空間的に把握しようという試みはおそらく最初からおこなわれていない。ある種の実録としては面白いが、それ以上のものとは考えにくい。劇中でベルグマン短機関銃を使用している光景を見ることはできなかったが(ちょっと期待していた)、陸戦隊の車両として戦車(ルノー?)と装甲車(ヴィッカース?)などが登場する。 
なお、以下の動画は上海事変に投入されたヴィッカース装甲車に関するもので、上記の映画とは何も関係がない。




Tetsuya Sato