2012年2月4日土曜日

ムカデ人間

ムカデ人間
The Human Centipede(First Sequence)
2009年 オランダ 90分
監督:トム・シックス


アメリカ人女性の旅行者二人がレンタカーで移動中にドイツの森で道に迷い、タイヤがパンクしたので車を捨てて森をさまよい、ようやく見つけた家で助けを求めると、その家のあるじであり高名な外科医でシャム双生児の分離によって名を知られ、すでに三頭の犬を使って恐るべき実験を終えていたヨーゼフ・ハイター博士は二人を迎え、助けを与えるようなふりをしながら薬を使って二人を眠らせ、二人が目覚めると医療用の寝台に拘束されていて、隣の寝台には三人目が同じように拘束されているが、ハイター博士はその三人目を適合しないという理由で薬殺して家の庭に埋葬し、それからどこからともなく三人目をさらってきて寝台に拘束すると、これが関西弁しかしゃべらない日本人で、この日本人が博士に向かって罵声を浴びせる一方、博士は一方的に三人に向かって説明を始め、さっそく手術の準備にとりかかるので、女性のうちの一方が博士の隙を見て逃げ出し、捕えられて真ん中に使うという宣告を受け、そして手術がおこなわれ、博士は自分の仕事ぶりに満足して結合された三人をもてあそび、反抗すると鞭で打ち、そうしていると警察から刑事が二人やってくるので、博士はほとんど条件反射のように動いてこの二人も薬を使って眠らせようとするが失敗し、刑事は捜査令状を取りに戻り、博士が刑事の応対をしているあいだに博士のムカデ人間は博士に対して抵抗を試み、博士に傷を負わせて逃げ出すので、それを博士が床を這って追っていくと刑事が戻ってきて博士の家のドアを叩く。少しでも常識があったら恥ずかしくてやらないようことを大真面目にやっていて、腑に落ちないところも少々あるものの、映像の品位は水準にあり、ハイター博士に扮したディーター・ラーザーの怪異な風貌と犠牲になる三人の熱演(特に先頭に配置される北村昭博)、よく考慮された美術と緊張感のある演出で鑑賞に耐える作品に仕上がっている。単なる悪趣味が悪趣味に終わっていないところは評価すべきであろう。 






Tetsuya Sato