2012年1月9日月曜日

宇宙人ポール

『宇宙人ポール』(2011)
Paul
監督:グレッグ・モットーラ


いわゆるSFオタクのイギリス人グレアム・ウィリーとクライヴ・ゴリングスはサンディエゴを訪れてコミコンに参加し、それからキャンピングカーを借りるとUFO関連の名所を訪れるために中西部に乗り出していくが、夜道で自動車事故に遭遇し、壊れた車に近づいていった二人の前には恥も外聞もなくグレーそのものであるところのエイリアンがくわえ煙草で現われて同乗を申し入れるので、二人はポールと名乗るエイリアンに請われるままに車を北へ進めていくと、創造論者の父親からがちがちに教育を受けたインテリジェント・デザインな娘が狂信から解放されて仲間に加わり、狂信とショットガンを抱えた創造論者の父親とおっかないシガーニー・ウィーバーに率いられたなにやらメン・イン・ブラックな組織のエージェントとその間抜けな子分があとを追い、車がワイオミングに入ってポールの目的地に近づいていくと、前方にはどこかで見たような様子でデビルズタワーが姿を現わす。
脚本はサイモン・ペッグとニック・フロスト。冒頭、コスプレまみれの混沌としたコミコンの興奮をそのまま引き継いでにぎやかに切れ目のなく続くダイアログが非常に楽しい。そして開巻間もなくホテルの部屋でピザボーイから発せられる「エイリアンて何さ」という台詞が象徴するようにエイリアン同士の敷居は限りなく低く、楽天的でほほえましい。グレッグ・モットーラの演出には多少の不安を感じていたが、ジェイソン・ベイトマン、ビル・ヘイダーと慣れた俳優でうまい具合に脇をかため、細部にいたるまでリズミカルにまとめている。 




Tetsuya Sato