2011年12月11日日曜日

ジョン・フォード『栄光何するものぞ』(1952)

栄光何するものぞ(1952)
What Price Glory?
監督:ジョン・フォード
1918年のフランス。フラッグ大尉が指揮する合衆国海兵隊L中隊に新任の軍曹が到着する。このクワート軍曹とフラッグ大尉は世界各地を転々としながら宿敵関係を続けていて、あまりにも宿敵なのでお互いのあいだに言葉がいらないくらいになっていて、そのクワート軍曹はフラッグ大尉の留守中にフラッグ大尉が借りた部屋にもぐり込み、フラッグ大尉が自分の女だと宣言している居酒屋の娘に接近し、事実に気づいた居酒屋の主人は娘を傷物にされたという理由でフラッグ大尉を脅迫し、フラッグ大尉は軍曹をただ笑い物にするだけのために娘との結婚を強要し、そういうどたばたをしているうちに出動命令が下ってL中隊は戦場へおもむき、そこで砲撃にさらされ、ひとが倒れるのを見ているうちに、もう本当に戦争がいやになり、女性のそばにいたくなり、大尉も軍曹も結婚するつもりになってくるので村へ戻ってからの話が面倒になる。
軍隊コメディである。どたばたとしている前半はかなり笑えるが、精神的に深刻になってくると、深刻になるのがフラッグ大尉のジェームズ・キャグニーなので冗談抜きに深刻で、つまり映画的な意味での言葉数が少々不足していても、ああこのひとは本当に戦場に戻りたくないのだなあ、と感じられるくらいに痛々しい風情があって、それでどうなるかと言うと、ジェームズ・キャグニーはすごい役者だと感心させられるのである。舞台劇からの翻案らしいが、構成は意外なくらいに愚直で、戦争の狂気と悲惨を直球勝負で扱っている。まだ初々しいロバート・ワグナーが新兵役で顔を出し、村の女学生と初々しく恋をしていた。
栄光何するものぞ [DVD] FRT-040

Tetsuya Sato