2011年11月6日日曜日

わたしなりの発掘良品『ロック・ユー!』(2001)

ロック・ユー!(2001)
A Knight's Tale
監督・脚本:ブライアン・ヘルゲランド


14世紀の西ヨーロッパ。これから馬上槍試合というところで一人の騎士が絶命し、従者が代わりに出場する。従者たちはすでに三日も食べていなかったので、棄権して賞品をもらいそこねるわけにはいかなかったからである。代理は試合に勝って賞品を手にするが、代理に立ったこの従者には、騎士になるのだという野望があった。そこで従者仲間を口説いてユニットを引き継ぎ、騎士身分を詐称するためにたまたま通りかかったチョーサーも仲間に引き入れて証明書を偽造してもらう。偽騎士はフランス各地をまわって槍試合という槍試合で勝利を収め、恋人までも勝ち取った上で遂にロンドンの世界選手権(!)に出場するが、そこで敵役の伯爵によって身分を暴れ、試合を没収された上に、晒し台に縛りつけられてしまう。酷薄なロンドン市民は晒し台に嘲笑を浴びせかけるが、そこへもちろんという何の疑問もない展開で、話はひたすらにモダンなスポ根である。
競技場の観客席では客がウェーブしているし、ガキどもは顔にペイントしているし、主人公の甲冑にはナイキのマークが入っているし、主人公一味の中には明らかにTシャツを着ている奴がいるし、チョーサーの前口上はそのまんまプロレスの前口上なのである。ところがセットは実にしっかりしているし、衣装も主人公周辺の確信犯的に妙な服を除けばちゃんとしている、そして何と言っても馬上槍試合を大真面目にやっているのである。いや、それだけではない、ちゃんと百年戦争だってやっているのである。目配りのよい脚本が素晴らしく軽快な映画に仕上がっていて、いや、最後には感動までしてしまいました。 
ロック・ユー! コレクターズ・エディション [DVD]

Tetsuya Sato