2011年10月15日土曜日

ジョン・ギャラガー『フィースト』 1,2,3

The FEAST/ザ・フィースト(2005)
Feast
監督:ジョン・ギャラガー


ひどくさびしい場所にぽつんと建っているバーに微妙に煮詰まった人々が集まっていると、そこへショットガンを持った男が現われて怪物が襲ってくると警告し、その説明も終わらないうちに実際に怪物が襲ってきて騒ぎになり、窓をふさぎ、武器を集め、朝まで攻防戦をするというどこかで見たようなパターンが展開するが、登場人物にはいちいちスーパーインポーズで予告的な説明が入り、ところがその説明がどことなく食い違っていることも含めて冷笑的な演出が面白い映画である。状況が状況であっても人間は下劣な習性から逃げることができないし、怪物のほうもお下劣で、人前で平然と交尾して子作りに励んだりする。ややリズムが悪く、空間処理に対する無関心(というか、気にしていない)が気になったが、頭を使って作った様子は評価したい。ちなみに暴力描写はストレートにスプラッターである。
フィースト アンレイテッド・バージョン [DVD]  




フィースト2/怪物復活(2008)
Feast II: Sloppy Seconds
監督:ジョン・ギャラガー


一作目の同日から始まり、その翌々日まで。一作目の舞台になったバーに近い小さな町が怪物に襲われ、住民の大半が殺戮され、町でいちばん頑丈な造りの留置場はそこにぶち込まれていたジャンキーが占拠して立ち入りを拒むので、生き残った人々は留置場のドアを突破するためにあれやこれやと画策をする。つまり一作目同様、話の主眼は怪物よりも人間の軽挙妄動やあさましさに向けられており、その周囲では怪物が人間以上のあさましさを発揮するのである。お世辞にもうまいとは言えないが、明確な方向性と方向性への執着は好ましい。スプラッター描写は輪がかかり、怪物がネコをレイプするという目を背けるような残酷描写も登場する。 
フィースト2 -怪物復活- [DVD]




フィースト3/最終決戦(2009)
Feast 3: The Happy Finish
監督:ジョン・ギャラガー


二作目から話をそのまま引き継いで、生き残った人々が怪物と戦う。登場人物は相変わらず雑念を抱えているが、いちおう最終決戦というフェーズに入っているのでいちおう集中力を発揮するようになり、主人公たちの戦いを助けるためにカウボーイ、預言者、空手キッドなどの新たな人物も登場する。ただし無用の期待を与えるだけで、実はまったく役に立たない。もちろん、ほぼ全編にわたり血まみれである。 
フィースト3 -最終決戦- [DVD]



Tetsuya Sato