2011年10月22日土曜日

わたしなりの発掘良品『限界戦線』(2006)

限界戦線(2006)
Posledniy bronepoezd
監督:ジノヴィ・ロイズマン


独ソ戦初期のベラルーシ。ソ連軍に偽装したドイツ軍部隊によってドルチ川の鉄橋が占拠され、脱出路を失ったソ連軍部隊は鉄橋突破のために装甲列車の投入を決定し、指令を受けた装甲列車部隊が移動を開始する。同じ頃、徴用された兵士及び流刑者を乗せた列車がドイツ軍の攻撃を受け、その場から脱出した58条組の元赤軍少将、無頼漢、若い兵士、若い看護婦、機関車の機関士の五人はそこへ現われたソ連軍装甲列車部隊によって逮捕されるが、ソ連軍装甲列車部隊の兵士たちはドイツ軍の欺瞞工作によって全滅するので、たまたま難を逃れた58条組の元赤軍少将ほかの一行が装甲列車を乗っ取ってドルチ川の鉄橋を目指し、途中、ドイツ軍に使役されていたソ連軍捕虜を解放して仲間に加え、ついでにドイツ系の美人女教師も列車に乗せ、そこへドイツ国防軍のスパイ(ソ連軍上級中尉に偽装していて、中尉にしては歳を食っているし妙に如才ないし、という理由でどこへ行っても怪しまれる)ももぐり込み、なおも進んでいくと、その国防軍スパイに侮辱されて(再三、装甲列車を取り逃がすので、叱られた)とても怒っているドイツ軍山岳猟兵部隊が追ってくるし、空からはシュトゥーカが爆撃を加えてくるし、列車内では国防軍のスパイが早速悪事を働いているし、ロマンスもあるし、ご婦人方の水浴シーンもあるし、ということでもりだくさんの内容になっている。
キャラクターはどれもいい感じに立っているし、プロットはそれなりによく考慮されており、戦闘シーンもそれなりに迫力があり、自信過剰気味のドイツ軍、もっぱら演説と自軍兵士の逮捕に関心を持っているソ連軍、といういかにもな描写もよくできていて、演出もそこそこに力があり、登場する装甲列車も半端ではない、ということでなかなかに見ごたえのある戦争映画になっている。ただしオリジナルは3時間半近くあった模様で、この短縮版でもふつうに見ている分には支障はないが、出来がいいだけにカットされている部分はかなり気になる。
限界戦線 [DVD]


Tetsuya Sato