2011年10月20日木曜日

わたしなりの発掘良品『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987)

ニア・ダーク/月夜の出来事(1987)
Near Dark
監督:キャスリーン・ビグロー


凶悪無比な吸血鬼の一味がアメリカのど田舎をうろうろする。窓に目隠しを貼ったワゴン車を乗り回し、ダイナーでウェイトレスの首をかき切って血をすすり、腹がくちくなるとモーテルの一室にもぐり込んで爆睡する。そして夜明けとともに警察に包囲されるとショットガンで応戦しながら毛布をかぶって車へと逃れ、昼の光の中を突っ走る。被弾して窓が割れて太陽の光が射し込んでくると、吸血鬼は体から火を吹くことになるので絶叫しながらガムテープで穴を塞ぐのである。無法ではあるが、どこか寂しくて達観しているという、考えようによっては傍迷惑千万な吸血鬼集団の話で、エリック・レッドのきわめて趣味的な脚本をキャスリーン・ビグローが退廃的な映像にまとめ上げた。ランス・ヘンリクセンが吸血鬼の頭目を熱演している。文句なしの傑作である。
ニア・ダーク 月夜の出来事 [DVD]

Tetsuya Sato